2004年の読書記録

 

↓ 12月 ↓
柔らかな頬
 桐野夏生(文春文庫)
気にはなっていたけど、一度も読んだ事がない作家さん
と思っていたら、『ダーク』という連載小説を何度か読んでいました。
『ダーク』は途中から読み始め途中で止めたので、ストーリーも人物背景も
全く解らないままで、暗いイメージばかりで全然おもしろくなかった・・・。
この『柔らかな頬』もひたすら暗い。
夏の北海道を舞台にしながら、寒くてどうにもならない。
どこか、下の方へどんどん潜っていって、閉所恐怖症になりそうな感じです。
書評で「ラストシーンが議論を呼んだ」と読みましたが
他の展開が無いのであれば、本当に、ラストは蛇足でしかなかったかも。(12/30)

痕跡
 P・コーンウェル(講談社)
クリスマス時期恒例のスカーペッタシリーズです。
全く関連性が無いように思われる
複数の死亡事件で同じ物的証拠が見つかり、
検査段階のミスではないのかと疑われる。
これらの事件は、事故なのか、犯罪なのか?
・・・というようなストーリー。
以前から、私はベントンを胡散臭い人間だと思っていましたが
本当に胡散臭いです。
良く言えば(?)鬱屈した人間なのでしょうか。
どちらにしても、私はベントンが嫌いかもしれない。
ベントンが生きているなら、マークが生きていない訳が無いのに
どうしてマークは忘れ去られているのか、それが不思議です。
ま、彼も何だか胡散臭い奴でしたがね。
マリーノのケイへの一途な思いが切ないです。
マリーノがもっと健康に気を使って、悪い女癖も改めれば、
いつかきっと思いが通じるような気がするんですけど。
今はだらしなく太った巨漢オヤジかもしれないけど、
元はハンサムなスポーツマンだったのですし・・・。(12/23)

ファントム
 スーザン・ケイ 扶桑社
再読。
’94年9月刊なので、10年前になりますね。
読んだ時に受けた衝撃があまりにも強くて、
それ以来、この本を開くことができないほどでした。
10年経って、私の心も『純真』から程遠くなり
「この本を開くのは辛い」と思うような衝撃はもう受けなかったものの、
やはり、苦しく切ない愛に涙せずにはいられませんでした。
所謂『オペラ座の怪人』の一生を描いた物語です。
原作は、オペラ座に現れるようになってからの怪人にしか触れていませんが
(とか言いながら、未だに原作を読んでいません)、
『ファントム』では、生まれてから死ぬまで、
そして死後17年後にまで触れています。
『愛』なんて言葉にすると陳腐に響いてしまうかもしれませんが、
親子愛であったり、人間愛であったり、友情であったり、
もちろん、男女の恋愛であったり、
そういう全ての愛が溢れんばかりに詰まっています。
私は、何があろうと、絶対にハッピーエンドが好きなので、
ハッピーエンドで終わっているこの物語の作者に
大いなる感謝を捧げたいと思います・・・。
私の人生最大の、お薦めの1冊です。

報復
 ジリアン・ホフマン/ヴィレッジブックス
訳者のあとがきに「こわい」とありますが、
のめりこんで読んでいると人間不信になりそうです。

12年前の学生時代に、道化師のマスクを被った暴漢にレイプされ
アイデンティティをめちゃくちゃに壊され、
数年後にやっと立ち直ったかに見えた女性検察官クローイ。
彼女が担当する、キューピットと呼ばれる連続殺人事件の
被疑者として逮捕された男の声を聞き、
その特徴ある手首の傷跡を目にしたとたん
クローイは、12年前の道化師マスクのレイプ犯が彼であることを悟ります。
が、時効が成立しているために、レイプ犯として裁くことができません。
クローイは調査を進めるうちに、彼は他にも
何件ものレイプ事件を起こしていることを確信しますが
証拠が全く残されていないために、彼は事情聴取さえ受けることなく
真面目で優秀なセールスマンとして生活していることがわかります。
どうしてもクローイ自身の手で有罪に持っていきたいところですが、
彼をレイプ犯だと告発し、昔のレイプ事件が明らかになれば
利害関係が生じるクローイは彼の担当から外されることになります。
そこに、彼を逮捕した新米警察官の致命的なミスが見つかり
そのミスを認めてしまうと、今度は彼の逮捕そのものが無効になって
犯人は釈放されてしまう。
その新米警察官の上司と共に証言を作り変え、
クローイにとっても不利な証拠を隠滅する・・・。
検察官としての倫理が、彼女の中でどんどん崩れていきます。
そうこうしているうちに、彼が道化師のレイプ犯であることは間違いはないが、
キューピット連続殺人事件には、
他に真犯人がいるのではないかという疑いが出てきて・・・
とにかく、誰も彼もが怪しい。
信じられるのは自分と飼い猫と飼い犬だけ。

こんな状況に置かれたら、クローイでなくても精神的に参ってしまうでしょう。
確かにこわいです・・・。(12/12)

善魂宿
 坂東真砂子 新潮社
連作長編小説。
・・・っていうのは、つまり、
短編小説の寄せ集めと同じことなんですが。

不思議な物語です。
麓の村から3里も離れた飛騨の山奥で
人知れず暮らしていた大きな4軒の家がありました。
それぞれの家が、
30〜40人もの人が住んでいるような大家族ではありましたが、
おそらく、4軒の全員が、どこかで
血が繋がっているのではないかと思われます。
外の世界から隔離されて、独自のルールを持ち
平和に暮らしていた彼らが、
外の世界に憬れて、次第に、家を捨てて出て行き、
最後にはたった1軒、母と息子だけが残って、
2人でひっそりと自給自足の生活を送っている・・・。
そんなところに、道に迷った旅人がやってきて、
外の町の話をしてくれる・・・というようなストーリーです。

最後に明らかになる母の秘密が、なんとも奇奇怪怪で、
取りようによっては、聖母マリアのようにも
或いは、何ともおぞましいことのようにも思えて
読者の想像力を煽ります。(煽られたのは私だけ?)

もちもちの木(斎藤隆介作、滝平二郎絵、岩崎書店)という絵本がありますが
それに出てくる「もちもちの木」が、この話の中でも出てきて、
懐かしい思いがしました・・・。(12/5)

 

↓11月↓
「スプートニクの恋人」
  
村上春樹(講談社)
再読。

前回読んだ時、
登場人物の1人、韓国籍のミュウが、25歳の時に
ドッペルゲンガー体験によって髪が白髪になってしまったことについて
「ありえない」という感想を、私は書いている。
それから、教師は聖職なんかではないと思うということも。
そんなことが、あの当時の私の関心事だったのだろう。
ネタバレになることを恐れて、他のことが書けなかったのかもしれない。
物語の最後に、行方不明だったすみれから
語り手の男性に電話が来る場面がある。
2年前は、私はそれを彼の幻想だと思った。
実際にはすみれは行方不明のままで(おそらくは死んでいて)、
彼女を追い求める彼の気持ちが昂じて起きた、
すみれからの
電話は、幻聴だったのではないかと。

今回、
彼女が行方不明だった間に居たかもしれない場所と
彼女が彼に電話をかけてきたことについて、
違う感想(?推理?)を持った。
それから、ミュウの体験についても。

まず、ストーリー順に沿って、ミュウの体験から。
彼女が見たのは、ドッペルゲンガーではなく、
実際に自分がした体験を思い出していたのではないか。
例えば、その時にひどく酔っていたか、もともと多重人格の気があったかで
普段の彼女の記憶の表面には出てこないことなので、
それが実際の記憶であることを、彼女には認めることができない。
忘れられた観覧車の中に閉じ込められるという
異常な状況からの心理的な逃避で、
実体験が他人事のような映像として、頭に浮かんだことを
「見た」と思い込んだのではないか。
フェルディナンドはストーカーではなく、
一度 友好的に関係を持つことができたミュウと、
ステディな関係になりたくて彼女の近くにいただけなのではないか。

すみれの行方不明事件について。
彼女は、ミュウにやんわりと拒否されたことで、
自分の性癖ととことん向き合って、真剣に考えようとしたと思う。
一歩前に進むために必要な生贄は、もちろん犬ではなく、
すみれ自身が生贄になり、山の上で呪術的な音楽を奏でる
異端な宗教者達とアンダーグラウンドで生活を共にし、
心に重く纏っていた鎧を、時間をかけて解き放ち、
身軽になって彼の近くまで戻ってきた。
でもそこは、彼が住んでいる都内ではなく、おそらく、中国か韓国で、
方向音痴で自分の居場所すら
はっきりわからないことが常である彼女にとっては、
たった一人でギリシアからアジア圏まで戻れたことだけが
事実であり、全てであったはず。
(日本国内では古臭く感じるような)電話ボックスの中で数日過ごし、
場所を確認して伝える約束をしていたことを思い出して、
小銭を作って再び彼に電話をし、
そして彼は、すみれを迎えに行くことだろう。
すみれは、ギリシアで自分を生贄にして得た経験と知識を活かして
彼の気持ちに応えることができるようになるのだろう。
是非、そうであって欲しい。

また、数年後に読み返す機会があったら、
私はどんな感想を持つのだろうか?(11/30)


火の粉
 雫井脩介(幻冬社文庫)
ジャンル的にはミステリーになるのでしょうが
サイコスリラーと言っても良いかもしれないと思います。
無罪を言い渡した裁判官と、その被告人。
疑わしきは罰せず というのは大原則ではあっても、
また、火の無いところに煙は立たなかったりもするのです。
・・・まあ、火をつけるのは誰なのかってことも問題ですけど。
(11/24)

邪恋
藤田宜永(新潮社)
11月の新刊。
義肢装具士とその患者である人妻との情事。
男は女をモノにしたい。
女は確実な愛が欲しい。
男と女は、永遠にすれ違うようにできている。
何となく藤田宜永のパターンが読めてきた感じがします。
実らない不倫・・・ですか・・・。(11/7)

  

↓10月↓

私が語りはじめた彼は
 三浦しをん (新潮社)
古代朝廷を専門としている歴史学者の村川融。
冒頭の、古代朝廷の皇帝と寵姫の話は衝撃的です。
院生の倉橋香織と付き合っていた村川の助手の三崎。
村川のカルチャースクールの生徒だった
飴屋真沙子、太田春美。
村川の実の息子の呼人(よひと)。
村川の実の娘のほたるとほたるの同級生の飴屋千沙(真沙子の娘)。
村川と再婚した太田春美の、連れ子の綾子。
ほたるの婚約者の市川律。
かつて村川の助手だった三崎の、妻になった伊都と、
幼い頃に誘拐され、その間の記憶をなくしている高校生の奥村。
本当の主人公であるはずの村川融や太田春美本人は
この本の中には全く出てきませんが、
彼らによって曲がりたくない角を曲がることを余儀なくされた
周囲の人々の人生は、それなりに進むべき道を見つけて
納まるところに納まったのだという印象を受けました。
冒頭の昔話を私なりの解釈で彼らに当てはめるとすれば、
皇帝は村川前夫人、寵姫は綾子、寵姫の浮気相手が太田春美
ということになるのでしょうか。
深いですか? 強引ですか?
当の村川は、ひとりだけ別次元に漂っていたように思います。(10/29)

ヒロインは眠らない(上・下巻)
 ドリス・モートマン(二見書房)
証人保護プログラムによって死んだことになっている母と娘。
妻と娘を亡くしたと思っていた父。
警察官になり、危険な場所に舞い戻ったために
証人保護プログラムを解除された娘。
文句無しに面白かったです!
出てくる男性が皆、いいオトコ過ぎるのが
ちょっとできすぎですけど〜w
日本人には書けない話だろうなと思います。
今年一番のお勧めです。(10/14)

抑えがたい欲望
 キース・アブロウ(文芸春秋)
上質のブラックコーヒーのような
ハードボイルドとでも言いましょうか。
現在5作ほど出ているシリーズモノの、
この作品は第3作目だそうですが、
翻訳されているのは今のところ1作目と3作目のみ。
1作目はミステリーとしては最低の部類だったらしい。
しかし、主人公の魅力は既ににじみ出ていたらしい。
登場人物は皆、心に問題を抱えている人ばかり。
(問題を抱えていない人間なんていないけどね)
主人公フランクは精神科医。
未翻訳の2作目で婚約者を失っているらしい。
子供の頃に受けた虐待の記憶にも囚われたまま。
更に、立ち直った元アルコール依存症患者。
バーでアルコールを注文して、グラスを口元まで運んでも
飲まずに立ち去ることができるほどの。
人間は誰でも、心に傷を抱えている。
皆、傷を癒したくてあがいている。
けなされている1作目が、果たしでどんなものだったのだろう?と
思わずにはいられないほど、本作品は面白い。(10/10)

  

↓9月↓
片想い
 東野圭吾 文春文庫
トランスセクシャル、トランスジェンダーの問題を扱っていて
なかなか面白いのですが・・・。
日本人の書くこういう系統の話って
後一歩の深みが足りない気がする。
結構いい線行ってるんだけどねー。
ミステリーとしても、本当に惜しいんだなぁ。
ヒント丸出しで、先が丸見えなのに、
主人公の鈍感なお人よし加減がねー。
でも、色々考えるべき部分もあるし、
深いテーマですよね。
美月は結局、節操の無い両刀使いなのだと思う。
QBへの気持ちも中尾への気持ちも
理沙子への気持ちも、全部嘘ではないのだろう。
だけど、普通はそんな風に大勢に恋愛感情を抱くことを
自粛するものなんだけど、
美月は、自分の特殊な心理状態を隠れ蓑にして
二股も三股もかけちゃってるわけで・・・。
全部に真剣になれない理由もわかるから
哀しいけどね・・・(9/30)

夜陰譚
 菅 浩江  光文社
短編集です。
女の情念のようなものに、うっすらと寒くなるような、
そんな話ばかり。
まあ、女ってこういうものですわね。(9/19)

嘘猫
 
浅暮三文 光文社
青春のひと時を、猫の嫁(?)と子猫たちと過ごした著者。
エッセイのような私小説のような青春小説のような、
なんとも不思議な、良い雰囲気の漂ってくる本です。(9/17)

いたずらが死を招く(上・下巻)
 サンドラ・ブラウン 古澤康子(訳)
 新潮社
集英社刊とは違って、サスペンス色が強目です。
いや、ラヴサスペンスというジャンルかw
昔々、私が小説(児童文学ですが)の書き方を習った時に
「基本的に、双生児モノは反則だよ」と
講師の先生に言われました。
つまり、この小説は反則モノに属するかもw
二転三転あって、「えっ?」とびっくり!
「結局いつのダレが誰なの? 彼女は死に損?」と
納得行かない部分もありますけど・・・。(9/16)

愛ゆえに哀しくて
 サンドラ・ブラウン 秋月しのぶ(訳)
 集英社文庫
熱き夜の香りにの続編。
こちらは、妹のリラが主人公のラヴストーリー。
自由奔放そうに見えるリラ。だけど・・・
最近私がいろいろなところで主張していることですが、
人を見かけだけで判断してはいけないのですねー。
他人にはどう映ろうと、その人の本心はその人にしかわからない。
勝手に決め付けないでほしいものです・・・(9/14)

熱き夜の香りに
 
サンドラ・ブラウン 秋月しのぶ(訳)
 集英社文庫
再読。
交通事故で夫を亡くし、雑貨店を経営しながら
2人の子供を育てている若き未亡人エリザベス。
隣に引っ越してきたミステリアスな男性と
仕事上の取引先(かな?)の男性と
自由奔放な妹と、
自分の小説家としての秘められた才能に
振り回されながら
新しい伴侶を得るまでの物語。
砂糖菓子のような甘い恋愛小説です。(9/12)

あきらめきれなくて
 サンドラ・ブラウン 吉澤康子(訳)
 新潮社
再読。
不倫の汚名を背負ったヒロインが
不倫相手から相続した家で医院を開く。
最後に大どんでん返しがあります。(9/9)

殺しの四重奏 
ヴァル・マクダーミド (集英社文庫),
 森沢 麻里 訳

トニーもキャロルも、お互いに
相手の仕事に半端な関わり方をしたために
部下を亡くしてしまう。
2人で一つの事件を追わなくてはいけない と
読者に思わせたいのなら、大成功。
『大人』としてはちょっと悲しいけど
『2人で1人』なのでしょうね、彼らは。
それにいつ気付くのか、という
じれったい感じがまた良いのでしょう。(9/5)

殺しの儀式 
ヴァル・マクダーミド (集英社文庫)
  森沢 麻里  訳
1作目から飛ばしてました、マクダーミドさん。
危うく心理学者が死ぬところでした。
いやぁ〜・・・
読後、変な夢を見ちゃいますね・・・。(9/1)

↓8月↓
殺しの迷路
 ヴァル・マクダーミド(集英社文庫)
  森沢 麻里 訳
殺しの儀式、殺しの四重奏 に次ぐシリーズ3作目。
「ここまでしないだろう!」ってところまで
主人公を追い詰めるストーリーは、かなりリアリティあり!
1作目、2作目を読んでないので
登場人物の相関関係が良くわからないけど
何だかかなり切ない生き方をしている心理学者と
女性警察官が主人公になっています。
2作目が出たのが5年程前、1作目はさらにその前なので
書店で探しても、売っていませんでした。
ネットで注文中。
手元に届くのは4〜6週間先になるもよう。(8/26)

幼き逃亡者の祈り
 パトリシア・ルーイン(ヴィレッジ・ブックス/林 啓恵 訳)
遺伝子操作で誕生した子供達。
世間から隔離されて育てられ、人体実験に使われているが
実験者達には、その子供達が自分と同じ人間であることに
気付こうとしない。
そりゃ、そうでしょう。 実験用動物に感情移入していたら
動物実験なんてできないでしょう。
『究極の自分勝手』です。
動物の命だってかけがえの無いもののはずなのに・・・。
みんな、病気になったらそこで終わり ということにすればいいのにね。
無理して治す必要なんか無いのに。
昔のように、おまじない程度の治療で十分じゃない?
地球上に人間は増えすぎてる。
増えすぎたから、『人間が一番偉い』と勘違いしている。
『たかが人間』じゃないか。 どこが偉いんだ?(8/19)

カシスの舞い
 
帚木蓬生(新潮文庫)
大学病院で治療を受けようとする患者は
人体実験に協力することを暗黙の了解としている。
ある意味、合っているような気もするし、
ちょっと違うような気もする。
だけど、大学病院に行かなくてはいけない病気と
大学病院に行く必要の無い病気というものが、
確かにあるような気がする。
病院選びは慎重にした方が良い。
(8/15)

女精神科医
 
ボニー・コンフォート(講談社文)
再読。
精神を病んでいる患者に訴えられた精神科医。
告訴人は病気に見えないのに、かなりの重症。
人間は、見かけで人を判断するパーセンテージが高い。
『病気に見えない』、しかも『ハンサム』。
さあ、どうなる???
(8/13)

神秘の短剣(上下)
 
フィリップ・プルマン(新潮文庫)
琥珀の望遠鏡(上下)
 フィリップ・プルマン(新潮文庫)
黄金の羅針盤」の続編です。
昨年12月、ロンドンで舞台化され、
今年11月には追加公演があるそうです。
ニューライン・シネマ社によって映画化も決定したそうです。
神秘の〜と琥珀の〜は、タイトルを分けることも無いほど
繋がった一つの物語です。
もちろん、黄金の〜から、ずっと繋がってはいるのですが。
黄金の〜では、まるっきり子供だったライラが
琥珀の〜
で、結婚について考えるほど大人になります。
子供向けのファンタジーだと思って読み進めていくと、
思わぬところで、ぎゅっと胸をつかまれるような
切ない恋物語でもあることに気付きます。
(8/6)

 

7月
受精
 帚木蓬生(角川文庫)
再読。
ナチス・ヒトラーの夢から覚めない一団の
大掛かりな組織的犯罪に巻き込まれる
恋人を無くした女性達と、正義感にあふれる産婦人科医。
暑いブラジルを舞台にしたこの小説は、
夏に読むことをお勧めします。
(7/24)

旅涯ての地(たびはてのち)
 坂東眞砂子(角川文庫)
再読。
時は中世。
主人公は、中国人の貿易商の父と日本人の母を持つ夏桂という男性。
数奇な運命を辿り、イタリアにやってきた彼は、
ローマ教会と、カタリ派と呼ばれる宗派の、紛争に巻き込まれます。
聖書学の知識を盛り込みながら、夏桂の人生を辿る
大河小説なのです。
(7/19)

ハネムーン
 
吉本ばなな(中公文庫)
再読。
この人の本の登場人物は語る語る・・・。
この間終わった、読売新聞に連載されていた小説
「海のふた」ロッキング・オン社から発売)の中でもそうでしたが、
会話をしているというよりも、吉本ばなな本人の思想を
前面に出したくて、みんなに知らせたくて、
どんなに言っても言い足りない・・・っていうような感じを受けます。
わざわざ『小説』とか『小説の中の会話』という形式を取らなくても良いんじゃないかとさえ思います。
彼女よりも年が下の読者にとっては、新鮮できらきらして見えるのかもしれませんが、
擦れたおばさんである私から見ると
青臭くて、あまりにも一所懸命すぎて、息苦しくなってきて、
「わかった! もういい! 降参だよ〜」と言いたくなったり・・・。
あまりにも真っ直ぐに固くなって立っているので、
ぽきっと折れちゃいそうです。
(7/14)


 小池真理子(早川書房)
再読。
実は兄妹だったという、大学の英文学助教授とその妻。
夫婦の友人であるイタリアンレストランの主人と
夫の教え子の男子学生は、妻の愛人達。
夫の仕事を手伝うアルバイトの女子学生は、夫の愛人。
入り乱れてます。
諸悪の根源は、妻の父親。
使用人に手をつけ妊娠させた挙句に捨てた結果が、
兄妹の「結婚」に繋がり、妻がおおっぴらに愛人を作ることになり
果ては、お決まりの殺人事件に発展してしまう。
男性諸君! 
愛人を作るなとは言わないけど、
作ってしまったのなら、最後まで責任を持とうよ!
責任を持てないのなら、妻一筋で一生過ごしなさいね。
間違っても、妻と愛人を対決させる事態には追い込まないように。
そこのあなた! わかった!?
(7/13)

野生の風
 村山由佳(集英社文庫)
再読。
織物作家と写真家と出版社勤務のキャリアウーマンとの三角関係。
↓の『翼』に繋がる部分がたくさんある物語。
『翼』のラストシーンでは、マフィは前を向いて
進んでいこうとしていることがはっきりわかるけど、
この物語の飛鳥は、おそらく、一生
その場から動けないだろうということが、私にははっきりわかる。
するべき『仕事』があるから、あるいは、他の
何かくだらない理由があるから、
生きることを放棄することができないだけであって、
飛鳥の心は永遠に大きな氷の中に閉じ込められたまま。
『障害を持った子供』を持つことが、どれほど大変なことなのか、
私にはわからないし、敢えて悪者になって言わせてもらえれば、
そんなこと、私には関係ない。
好きな人を好きだと言うことの何がいけない?
・・・そうだよね。いけないことなんだよね。
全ては自業自得なんだよね・・・。
(7/11)

翼 cry for the moon
 
村山由佳(集英社文庫)
2年前に読んだ本の再読。
結婚式の日に銀行強盗に殺された夫の郷里で
腹違いの夫の弟に見守られながら自分を取り戻していく大学院生。
壮大な物語です。日本人の女性がここまで書けるのか?と思うような。
(偏見かもしれないけど、日本女性が書く物語って
深みが無くて物足りないように思うのです。
体力的・スタミナ的に、長編を書くのに向かないのかな。
だから、短編を書く人が多いのではないかな。)
メインストーリーもサイドストーリーもしっかりしていて、
解説に「村山文学の頂点」とありますが、まさにそのとおり。
この人はもう、これ以上のものを書けないのではないか、とさえ思います。
そのくらい、ストーリーもしっかりしていれば、
現地取材もしっかりしたのだろうなということが良くわかる物語です。
(7/10)

欲望
小池真理子(新潮文庫)
再読。
事故でインポテンツになり、それを苦にして自殺した
かつての同級生を思いつづける女性。
どこかでも書きましたが、恋愛って、つまるところ、どういうことなのでしょう?
身体の交わりが無ければいけないものなのでしょうか?
ただその人を好きだという気持ちだけではいけないの?
・・・だけど、好きなら
会いたいし、そばにいたいし、手をつなぎたい、触れ合っていたい・・・
そうすると、どうしても「する」ことにつながる・・・。
それならば、できなきゃ、恋愛の対象にならないのか?と言えば、
そんなことは、絶対にない。はず。
でも、一緒にいたら、いずれはしたくなる・・・。
同道巡りですね。出口が無い。
それなら、することにはどんな意味があるのか?
それはもちろん、子供を作り、産み、育てる ことに繋がるわけで、
子供を作らないのなら、する意味が無いんじゃないかとも思うわけで・・・。
まあ、私にはずっと、妊娠願望があって、
今までの2回のお産はとっても安産で、
私の存在理由は「子供を産むこと」だと思っていた時期もあるほどで、
だけど、世の中には自分の思い通りに事を進められない状況も多々あるわけで・・・。
・・・
うーん、なんだか難しい世の中になっちゃったものです。
たぶん、原始の頃には、こんな小難しい理屈なんか要らなくて、
好きな人と交わって、妊娠して子供を産んで、
それだけで幸せだったんだろうなぁ。
そういう世の中でよかったのにね。
どうしてこんなにおかしな世の中になっちゃったんだろうね・・・?
(7/6)

 

6月
ショッキング・ピンク(上・下)
エリカ・スピンドラー(MIRA文庫)
この本の中で精神科医が信じている性善説と刑事が信じている性悪説、
さて、どちらが正しいのだろう? と考えた。
おそらく、どちらも正しいのだ。
100人の生い立ちや生活環境を見れば、
100通りの説を証明できるかもしれない。
Aに当てはまるからと言ってBにも当てはまるとは言い切れない。
そして、心のそこから分かり合える人間同士なんて絶対にありえない。
それがわかっていれば、たぶん、生きることに失敗しない。
(6/30)

艶紅(ひかりべに)
 藤田宜永(文藝春秋)
去年読んだ本。再読。
妻子ある装蹄師と、京都のお茶屋の一人娘である染色家との
短い間の悲恋。
何度読んでも泣きます。
「強い」なんて誰にも言われたくないんだけど、
でも、一人で生きていくには強くならなくちゃいけない。
仕方なく悪者になってしまったりする。
そんな女性の本心も知らずに、表面だけしか見ようとしない男。
・・・男は単純で良いね。
女は単純には生きられないんだよね・・・。
(6/26)

愛の領分
藤田宜永(文春文庫)
6月の新刊。夫婦で買い上げちゃいました。
(蛇足;藤田宜永と小池真理子は夫婦です)
「死んでしまった恋」と、昔、どこかに書いたことがありますが、
その「死んでしまった恋」を引き摺っていることの醜さを見せられた気がしました。
DQシリーズ(初期のもの)をプレイしたことがあればお分かりでしょうが、
パーティーのメンバーが死ぬと、その棺を引き摺って歩き回ることになるわけです。
それがちょっと格好悪い姿だし、何より、4人でいっぱいいっぱいの戦闘が
誰かが死ぬことによって、戦闘力も防御力も落ち、
危なくて歩き回ってる場合ではないのですね。
ダンジョン内だったら、即座にリレミトをかけて、安全な場所でベホマするか、
教会へ直行しなければなりません。
しかし、死んでしまった恋にベホマは効かない。
物凄く成功確率の低いホイミしか、唱えることができない。
よもや、教会へ行ったとしても、信仰心なんて全く無ければ生き返るわけがない。
・・・なんのこっちゃ?
ま、とにかく、みっともないことはやめましょう。
分をわきまえましょう。
そして、目の前に引出しがあったら、開けてみましょう。
・・・ってか?
(6/20)


天の刻
小池真理子(文春文庫)
買ってしまいました。6月の新刊、短編集です。
40代後半の女性の恋愛をテーマにした話ばかり。
やはり、この年になってからの恋愛は、こんなパターンになってしまうのだろうな、と

いちいち頷いてしまうようなことばかり。
女は、寂しがりだし悲しがりだけど、しなやかで強かな生き物なのだな。
ぜひ、この本を世の男性に読んでもらって、
中年女性の生体を勉強していただきたく思います。
(6/17)
 

5月
ビューティフル・ネーム
鷺沢萠(新潮社)
こんなにも、在日韓国人のクオーターだということにこだわっているのかと
少し悲しくなる部分があります。
彼女は韓国人にもなれなければ、生粋の日本人にもなれない。
私も、かつてある人に言われましたが、
『居場所を探して』いたのでしょうね。
それが見つからなかったのでしょうね。
だから、もう、何もかもが空しく思えて、嫌になってしまったのかな。
書きかけの小説を残して、『未完』なんて書かれて出版されて、
・・・でも、そんなことも、もう、どうでも良くなってしまったのでしょうね・・・。
(5/30)


私の話

鷺沢萠(河出書房新社)

我が家に犬がやってきたのは1996年8月17日のこと。
元値25万円が、そろそろ生後4ヶ月になろうとしていたことで
当時の消費税3%含む22万8690円に値下げされて、
フードやサークル、食器などの備品を合わせると
総額29万2252円でのお輿入れだった。
毎年夏休みに息子と娘が私の実家に1週間ほど泊まりに行くことを
おそらく(本人にはっきり訊いたわけではないが)快く思っていなかった夫が、
自分では一切世話などしないくせに、誰が世話をするのかも全く考えず、
ただ単に、子供たちの夏休みの楽しみである「私の実家」に
対抗しようという姑息な思いつきで、突然、飼うことを決めた
衝動買いだったのだと思っている。
犬がいる生活をもっと楽しみたいと思って、
Dog World という月刊誌を読み始めたのは97年1月号から。
『コマとおかあさん』というタイトルのエッセイが始まったのも、
ちょうどその97年1月号からだった。
(98年1月号で買うのを止めたが、エッセイはその後も続いていた)
そこで初めて
鷺沢萠(さぎさわめぐむ)という人を知ったのだった。
図書館で、あるいは本屋で、機会があるごとに
鷺沢萠の文章を読み、
「主人公と同化する体質」の私は、彼女と一緒に
泣いたり笑ったり考えたりしてきた。
・・・死ぬなんて。自殺するなんて。なんだよ、サギサワ!!
世の中に、越えられないくらいの、耐えられないくらいのことなんてないだろう?
どんなことだって絶対に越えられる、耐えられるんだよ!
サギサワだってそうやって耐えてきたじゃないか!
どうしたんだよ・・・?
自殺のニュースを聞いた時、そんな怒りとも哀しみともつかない思いで一杯だった。
『私の話』を読んで、「ああ、頑張ったんだな。疲れたんだな」と
彼女の自殺を、少しだけ、許せそうな気がした。
たくさん頑張ったんだね。
たくさん疲れたんだね。
私も、たくさん頑張ってるよ。
私も、たくさん疲れてるよ。
でも、私があなたと違うところは、私には子供が2人いて、
私以外に世話をする人のいない犬もいて(コマにはセカンドおかあさんがいるよね)、
あいにく(?)両親も健在で、
ギャンブルにも酒にも、溺れるほどの興味が無い というところ。
だから、
どんなに激しく渇望していても、私は死ねない。
まだ頑張るしかない。(5/22)


ウエハースの椅子

江國香織(ハルキ文庫)
妻子ある男性を愛しすぎたために、心身共に弱っていく女性。
んなことを書くと、また、真剣に心配されてしまいそうだけど
この本を読んでいて死にたくなった。
積極的に自殺する愚かさも勇気も持ち合わせてないが
事件に巻き込まれるとか、事故に遭うとか、不治の病が急激に進行するとか、
そんなようなことが私の身に起これば良いのに、って、心から思う。
主人公は淡々と生きていて、恋人には家庭があって、
ものすごく愛しているのに、一緒にいる時間はたまらなく幸福でいられるのに、
その恋愛に行き着く場所がないことが良くわかっている。
いつか必ず別れが来ることを確信している。
恋人と一緒にいる時間だけが全てなのに、
恋人が一緒にいない時間でも、生活は普通に続いていて、
笑ったり、誰かに会ったり、仕事をしたり、飲んだり、食べたり、
そんなことが、当たり前のように身の回りに起こることがとても奇妙に思えている。
恋人がいない時間は、ただの抜け殻のはずなのに。
だから、死んだって同じことなのに。
人間は、どうしてこんなに複雑な感情を持って生きているんだろう?
食べて飲んで走って眠って子供を産んで育てて、
ただそれだけで良いのに。
次の世代へ生を受け継いだら、そこで終わりになれば良いのに。
生きていることは辛い。辛くて大変。
でも、死ぬことも、大変だよね。周りに迷惑がかかるから。
自分だけの問題じゃすまないから。
それでも、私は死にたくなるよ・・・。
ものすごく死にたくなるよ・・・。(5/21)


サマータイム・ブルース

サラ・パレツキー

再読(5/16)

黒蝿
P・コーンウエル
再読(5/9)

審問

P・コーンウエル
再読(5/1)

4月
警告
P・コーンウェル
再読(4/25)


業火
P・コーンウェル
再読(4/20)

検死官

P・コーンウェル
再読(4/9)


接触

P・コーンウェル
再読(4/6)

3月
死因
P・コーンウエル
再読(3/31)

私刑
P・コーンウエル
再読(3/25)

死体農場

P・コーンウェル
再読(3/21)

真犯人
P・コーンウェル
再読(3/15)


証拠死体
P・コーンウェル
再読(3/7)

2月
遺留品
P・コーンウェル

再読(2/29)

十六歳の闇
アン・ペリー著 富永和子・訳/集英社
年1冊、何と23年間も続いているシリーズ物なのだそうです。
日本では、この1冊しか翻訳されていないのかな・・・?
19世紀終わりのイギリスを舞台にし、
身分の違いによる様々な問題をちくちくと刺しています。
事件は、貴族の少年が殺されて全裸で捨てられていたことから始まります。
この、事件自体は面白いとは思いましたが、
シリーズ物としては、どうなのだろう?
1冊ではわからないことでしょうけど、
登場人物たちに対して、私は、あまり魅力を感じなかったなぁ。
おとなしすぎるかな。もっと個性的な方が好きです。(04/2/6)
 
1月
シービスケット(映画シナリオ)
ゲイリー・ロス脚本 ローラ・ヒレンブランド原作/ヴィレッジブックス
「ちょっとばかり怪我をしたからといって、命をまるごと捨てることはない。」
馬には致命的な足の怪我を2回も負って、2回とも復活した奇跡のシービスケット。
シービスケットの周囲の人間たちも、それぞれ心に傷を負っている。
シービスケットは彼らに助けられ、彼らはシービスケットに助けられ、
望みを捨てず、未来を信じて、「これでもか!」ってくらいに生きていました。
これが実話だから、尚更面白い。

この本はシナリオなので、場面設定と台詞しか書いてないのですが
原作は、ドキュメンタリーでありながら、まるで小説のようだそうです。
機会があったら、読んでみたいと思います。
(今のところ、ハードカバーしか出ていないので、文庫になったら・・・ねw)(04/1/25)


薔薇窓(上・下)
帚木蓬生/新潮社
1900年のパリ。
事故で婚約者を亡くした精神科医ラセーグが主人公。
パリ警視庁の中の診断医という特殊な職業です。
警察に逮捕・保護された様子のおかしな人を診て、診断を下し、
然るべき病院に送る、あるいは、治療の必要はなく正常だとして、留置場に返す。
立派な身分ではあるのに、婚約者を亡くしたショックでしょうか、
普通の恋人を作れず、娼館にお気に入りの娼婦を見つけ、通っています。
友人の警部エドモンがそんな生活を心配し、
警視の妹ドミニックを紹介すると、ドミニックは殺されてしまう。
お気に入りの娼婦マリアンも肺結核で命を落とします。
ラセーグは一生まともな恋愛や結婚ができずに過ごすのかと思いきや、
ハッピーエンドの予感・・・で幕を閉じる。
私は、とにかく、ハッピーエンドが好きです。
終わり良ければ全て良し、でしょ?
誰でも幸せにならなくちゃいけないでしょ!?
この本は恋愛小説ではなく、たぶん、推理小説なのだと思います。
若い女性ばかりを狙った連続誘拐事件があり、
エドモンはこの事件が解決しなければ辞表を出す覚悟でいる。
ラセーグが過去の診断書を調べて、精神科医という立場から犯人の割り出しを手伝う。
今で言うプロファイリングです。
人身売買され、そこから逃げ出してきた日本人少女 音奴も、犯人の割出しに一役買います。
20世紀になったばかりのパリの様子や、
ラセーグの友人である日本人の林を通しての、パリと日本の比較文化など、
たくさんのことが盛り込まれていて、ジャンル分けをするのが勿体無いくらいです。
・・・最後の最後で、やっぱり泣いちゃいました・・・。(04/1/18)


黒蝿

(パトリシア・コーンウェル/相原真理子・訳 講談社)
訳者のあとがきによると、
スカーペッタの年齢、本来なら60歳を超えているところを、
46歳に、若く設定し直したのだそうです。
公務員という箍が外れて、皆、もう、やりたい放題です。
良いのでしょうか、これで???立派な犯罪者だよ、こりゃ・・・。
てっきり死んだものと思っていたベントンが生きていたり、
死刑執行間近のルガルが脱獄してしまったり・・・。
そのまま「黒蝿」は終わっているので、
このシリーズはまだ続きそうな予感です。
というか、続けるつもりで、ベントンを生き返らせ、
ケイを若返らせ、ふたりを再会させたのでしょうね。
ジェイ・タリーとのことをベントンが知っているとわかったケイは、
この先、どうするのでしょう?
証人保護プログラムというのは、永久に続くものではないのですね。
事件の終わりと一緒に解除されることもあるものなのですね・・・。
とすれば、ベントンの家族のことだって気になります。
やっぱりどうしたって、目が離せません。(04/1/12)


黄金の羅針盤
(フィリップ・プルマン/大久保寛・訳 新潮文庫)
昨今流行のファンタジー系。
3部作(?)のうちの第1部目にあたるようで、
終わり方がさながら『バック・トゥー・ザ・フューチャー』。
こんなふうに終わられちゃった日には、次作を読まずにいられません。
この物語の世界では、人間には皆それぞれダイモンという守護精霊がついています。
人間とダイモンはせいぜい3メートルほどしか離れることができないほど密接な関係にあり、
それ以上離れると不安と寂しさで精神状態が不安定になり、
更に離されるとお互いに死んでしまいます。
子供の時期のダイモンは、様々な動物の形に変化しますが
大人になると形が定まります。
その形は主の人間の本質を表す動物になると言われ、
イルカの形に定まったダイモンを持ち一生船を降りることができなくなった船乗りもいました。
このあたりは、動物好きな読者を魅了する部分でしょう。
この物語では、ある闇組織によって
人間の子供とダイモンを引き離す実験が行われているという事件の解明に乗り出した
主人公ライラの冒険と成長が描かれています。(04/1/9)


沈黙
(遠藤周作 新潮文庫)
真面目に真剣に信じている人にとっては失礼極まりない意見でしょうが、
宗教なんて、所詮人間が考え出したものだと思うのです。
そこのところをわかって、信教に励めばヨロシイのではないかと思うのです。
投げ遣りな「イイカゲン」ではいけませんが、
程好い加減の「良い加減」さでヨロシイのではないでしょうか?

目くじら立てて、いがみ合って、憎み合うほどのことじゃないのではないでしょうか。
・・・だって、所詮、人間が作り出したものなんだもん。そうでしょ?(04/1/4)